代表質問を終えました!(2)

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(続・代表質問文章)

3.MICE戦略の強化
次に、国内でも急成長しているMICE観光について、今後の京都市の更なる戦略強化に向けお尋ね致します。
国際会議や展示会など多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどを意味するMICEは、例えば神戸国際観光コンベンション協会が2009年に調査した結果から、通常の観光に比べMICE観光客は1人当たり7倍の経済効果をもたらすと発表されるなど、その経済効果は絶大です。一般の観光と異なり、広範な分野に多大な経済波及効果をもたらすため、JNTO(日本政府観光局)によると、日本で1万人規模の国際会議が開催された場合の経済波及効果は約38億円との見込みも示されております。そのため、近年では国内では横浜市や福岡市が急激に誘致数を伸ばすなど、MICEの誘致競争はさらに高まっております。
京都市は国内としては早い段階からMICE誘致に取り組み、高い「歴史性」と「文化性」から、国際会議などの開催地として潜在的ニーズが高く、今年観光庁が選定した「グローバルMICE戦略都市」の5都市のうちの一つとなっています。ただ、2012年の京都市のMICE誘致件数は189件と前年比138%増でしたが、一昨年の東日本大震災による落ち込みからの回復幅が大きく、専らの目標は「未来・京都観光復興計画2010+5」(H22〜26)で定めている通り、2014年度までに年間の国際会議開催数250件を目指すことです。
そのためにはまず、会場のキャパシティ拡大のための京都国際会館の拡充はもちろんのこと、中小規模のMICE受け入れに向け大学へ国際会議主催を促す積極的なアプローチが必要です。 また、MICEはとにかく開催地ならではのおもてなしが成功条件のため、MICEに積極的な都市として二条城の1月、7月、8月、12月の火曜日休業には受け入れ難いものがあります。文化財保護のためとはいえ、多くの外国人が二条城前で観光の予定を狂わせられている姿は非常に申し訳なく、また観光都市として勿体無く感じます。
その他にも、京都市は国際会議・イベントに付随して楽しんでいただくための、体験型の観光とも言えるエクスカーションにもっと力点を置くべきです。京都市よりも国際会議の誘致数を上回る東京都や福岡市では伝統文化の体験や観光スポット巡りなど豊富なエクスカーションコースがHPでも大々的に紹介されています。本来、日本文化に触れ、観光を楽しんでいただくには京都市は得意とするはずですが、その価値をPRしきれていないため、今後は海外の有力旅行代理店への売り込みの一層強化を図り、テーマ別に豊富なプランを提供した上で世界各国とのコネクションづくりに励まなければなりません。そのためにはもちろんコンベンションビューローの組織強化も必要です。
また、新たに実施しているムスリム観光客誘致のための宗教上の配慮も大変重要な取り組みであるため今後さらに枠を広げる価値があると思います。
以上のことから、エクスカーションの充実及びキーマンへのコネクションづくり、受入環境の充実に向け、組織強化も含めて、次年度予算を増強すべきと考えますが、いかがでしょうか?今後MICE誘致戦略が財政収入の一つの柱とするためにも市長の決意をお示しください。

4.京都市の世界無形文化遺産への取り組み
続いて、京都市の無形文化遺産について質問させて頂きます。京都市では「古都京都の文化財」として17の社寺が世界遺産として、また祇園祭が無形文化財としてそれぞれ登録されています。また、新たに府市協調で「京の食文化」の無形文化遺産登録に向けた動きも始まり、市民の期待が高まっているところです。
しかし、社寺などの有形文化に比べ、無形文化に分類される社会的慣習や儀式・祭礼行事は世界遺産の登録数が圧倒的に少なく、それというのも、文化財行政として有形文化の保護法の適用はしやすい一方、無形文化においてはその価値をどのように継承・保護していくかの定義が難しいというのが根本にあります。しかし、ソフトパワーの宝庫として、世界に誇るべき無形文化が溢れる京都だからこそ、国内の先頭に立って無形文化の価値を伝えていくべきではないでしょうか。
そこで今回、京都市の誇るべき無形文化として非常に象徴的な五山送り火を、国内の世界遺産登録暫定リストに加えることをご提案させていただきます。
もともと、送り火そのものは、盆の翌日に行われる仏教的行事であり、再び死後の世界に帰る精霊を送るという意味をもつ盆行事の一形態です。五山の山々にそれぞれの歴史が伝えられていますが、その起源には平安初期、室町中期、江戸初期と、俗説も様々で確かな記録も残されていません。しかしそれは、「五山送り火」が宗教的行事でありながらも、ある意味、宗教という枠を超えて地元の人々によって始められ、受け継がれてきたため、記録にとどめられなかったのではないかとも考えられています。そして現在、数百年という歴史を市民によって受け継がれているのです。
また、「大文字」は、例えば車で京都市に入った際にカーナビで画像が表示されるほど、全国的にも京都を象徴するイメージといえ、京都市民にとっても、祇園祭と共に京の醍醐味とも言える夏の風物詩です。
私は、この五山送り火の持つたぐいまれな歴史が、長い年月をかけ、市民の努力により創り上げられてきたことに敬意を表すると共に、その仏教的意味、伝統、地域力などは、今後日本、そして京都の持つソフトパワーを発信する大きな力になると信じおります。
世界遺産の登録は、改めて対象物の文化的価値を高めると共に、そのネーム・バリューを国内外にアピールする絶好の機会になります。日本や世界中から旅行者が訪れ、近隣の住民の勢いや士気も活気づき、まさに人・モノ・お金の好循環を生み出します。今まさにユネスコの世界文化遺産登録により、周辺地域に莫大な経済効果をもたらしている富士山がその例です。そしてまた、世界から保存活動に対する理解も得られるため、援助も受けやすくなります。
世界遺産への登録を目指すためには、周辺環境をグローバルな視点から見つめ直す必要があるため、伝統を重んじてまちづくりを行ってきた京都市といえども、決して簡単なことではありません。しかし、日本の文化の都である京都の地域風土や伝統を後世に繋いでいくためには、市民の力だけでなく、行政においても揺るぎない努力が必要です。
そこで最後にお尋ね致します。京都に“訪れてこそ感じる魅力”を象徴する無形文化を、今後さらに世界へ発信するべきだと考えますが、いかがでしょうか。また京都市として、五山送り火を世界無形文化財にできるよう、国の暫定リストへの追加に向け取り組んではいかがでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。

(完)