行政こそ、メディアリテラシーを

先日より報道を賑わしている京都市の依頼による吉本興業芸人によるTwitter広報。

その時のツイートには京都市のふるさと納税や国際映画祭のことが触れられており、依頼額は2件で100万円です。値段もさることながら、ステマの指摘も出ており、今回私たちも状況を確認すると共に議会で問題提起を致しました。

1点目の金額について。

今回のツイートには吉本興業へ100万円が支払われており、それに対する投稿は2件のみです(コンビ同内容)。1件50万円は非常に高い印象を受けます。このことを担当課に問うと、「Twitter広報は1フォロワー5円と換算することが妥当であり、依頼芸人のフォロワー数からすればむしろ安い金額だ」との主張。京都市としては“問題ない”とのスタンスです。

しかし、最も意識すべきは費用対効果です。今回のTwitter投稿への反応は“いいね”や“リツイート”共に非常に少なく、リンク先に貼られたふるさと納税のアクセス件数も投稿当日42件、翌日63件だけで、このリンクによりふるさと納税のページが開かれたのかも把握をしていない状況です。京都市は「若い方への広報も意識しており、新しい方にも見てもらえたと思う」と言いつつも、「効果検証はできていない」ことを認めています。

費用対効果の面から言えばTwitterで、2件100万円を支出するなら、フォロワー数の多いインフルエンサーをもっと厳選すべきであり、そもそも140字しか情報量を伝えられないTwitterを、数あるSNSから選定する妥当性について慎重に考えるべきです。(アフィリエイト広告の場合、リンクに飛んだ人数に応じて成果報酬が発生することも多いです。)

次に2点目はステマ(ステルスマーケティング)への指摘について。

今回の投稿にはどこにも広告・宣伝であることを示す言葉が書かれていません。広告であることを明示する、いわゆる関係性の明示という概念が微塵もないのが大きな問題です。市の担当職員は「ハッシュタグでのリンク先で、京都市の宣伝でもあり、広告だとわかるのでは」「そもそもステマ規制の法律はなく、例えば食べていないものを食べたように説明する詐欺がそれにあたるので、本件は問題ない」としています。ただ、ステマとは、一般的に広告であることを隠した宣伝行為全般をいうものであり、だからこそ、これだけ多くの批判や指摘がなされていることを重く受け止めなければなりません。

そもそもTwitter自体、ステマは排除しようと動いています。本来であれば、適正な利用に向け監視する立場の行政が、この認識が甘かったことも問題です。これらを踏まえ、本日の本会議において、ステマへの正しい認識をとるように京都党から強く求めました。

財政が厳しく、色々なものを見つけては精査し、必要に応じて改善を求めていますが、まだまだ次から次へと出てくることに意識改革が図られていない現状への落胆があります。

 

京都市会議員 江村りさ