都構想否決にあたって ~京都市政への影響と今後の地方政治~

去る11月1日、大阪都構想の是非を問う住民投票で都構想の提案は否決されました。
大阪のお隣、京都で活動をする地域政党の市議として、統治機構の在り方に新たな一石を投じる挑戦を住民の方々がどのように判断するのか注目しておりました。
前回の住民投票から5年の年月を経て、二重行政解消が進んだことによる都構想の効果減の一方でコロナ禍で東京一極集中に一石を投じる統治機構改革への期待感の中、賛否が拮抗するのはよく分かりました。
そのうえで、2度目の住民投票の末、大阪府民の方々が出した否決という答えは尊重すべきと同時に、統治機構改革の難しさを改めて学ばせてもらいました。否決となったため、京都市への影響はほとんどないと見ております。

同じ地域政党として活動するうえで、大阪維新の会の躍進は注目をしています。地域政党同士ライバルという捉え方はしておりません。今、混沌とした政治を変えられるのは地方からであり、各地域の抱える課題にしがらみのない民間感覚でしっかり処方箋の打てる地域政党が重要な役割を果たすと思います。
今回の結果により衰退も言われていますが、都構想の看板を下ろすことで勢いが鈍化するイメージはあまり持っておりません。コロナ禍対応でも見た通り、対応スピードでイニシアティブを取った自治体に市民の期待感は高まるのであり、今後もアフターコロナに向け新たな政策を打つうえで注目を集める機会はあると思います。

さて、京都市もここからが勝負所です。これまでずっと指摘を続けてきた京都市の財政難が今年ついに500億円の財源不足を発生させ、いよいよ険しさを増してきました。これまでの私たち京都党の指摘を行政側は本腰を入れて向き合わず、今日を迎えてしまっているだけに悔しさと歯がゆさがあります。何とか打開策をと、今年2月の京都市長選では村山祥栄候補を応援しましたが、残念ながら当選が叶いませんでしたので、私たちは議会の場から対策に奔走しています。

今後の財政対策の話は長くなるので今日はここで留め、今後の地方政治についてです。
これまで地方議会で奮闘を続けておりますが、民意の力をもっとお借りしたいと思います。京都党は組合や団体からの支援をいただかない選挙で議会の場に押し上げていただき、政策提言の幅を縛られることなく議会活動を続けております。しかし、京都党議員の数が少ないという側面もありますが、そもそも議会全体からの声でさえ行政に届いていないのでは、ということも率直に感じます。これは、他の自治体を見ても特に京都市に強く感じます。
夕張市の財政破綻も市民の方々は全く知らない中で突然開示されたように、京都市民も「何も問題ない」と思っていたところに突然500億円の財源不足で、果ては財政再生団体の危機が急に浮上している状況です。
今もパブリックコメントなどではご意見を聞いていますが、今後の地方政治は包み隠さない情報発信のなかで自治体として向かうべき方向性を示し、時には住民投票なども視野に入れ民意のうねりがより身近にある中で行政運営が進む必要性があると思います。目の間に課題があり、変革へのエネルギーが足りない時はなおさらです。

そういった意味でも、今回の住民投票は意義のあるものでした。地方政治が市民生活に及ぼす影響の大きさをご認識いただきながら、多くの声を参考に政治がより良く機能することを目指していきたいです。

京都市会議員 江村りさ

※今朝の京都新聞朝刊にて、取材を受けました内容が掲載されております。