市民しんぶんなどで「京都市財政の黒字転換」という言葉を見れば、「京都市の財政はもう大丈夫だろう」と思われる方も多いはずです。実際に、京都市の平成24年度決算は、一般会計の実質収支が19億円の黒字であり、黒字転換の言葉も間違いではありません。しかし今、臨時財政対策債を含む京都市の累積赤字額が拡大し、過去最大の2兆1,514億円にまで借金が積みあがっています(図-1)。
臨時財政対策債(臨財債)とは
「臨時財政対策債」とは、地方一般財源の不足を補うために 「特例」として発行される「赤字地方債」で、臨時措置として導入されました。これにより、地方交付税の不足分は従来国が国債を発行して補填してきましたが、平成13年度から地方自治体が地方債を発行することとなります。
また、地方自治体が発行した地方債の償還費用は全額国が負担するものです。
前述したように、一見臨財債は国がいずれ負担してくれるため問題がないように思えます。しかし、「地域主権」という名のもとに国から地方への財源移譲を進めつつ、自治体には 一層の財政規律を求めています。国の交付税財源も不足しており、将来まで国が支えてくれる保証はありません。このままでは将来に重い「ツケ」を残すことが予想されます(図-2)。
京都市の交付税依存度は依然として高く、一方で国は保証するとしながらも飽くまで“自治体の判断と責任”で臨財債を発行させています。見えにくい借金にすがりながらの財政運営では本当に自治体だけでなく日本の将来は深刻です。いづれにせよ、早く対策を打たなければ将来京都市は例外のない財政緊縮を迫られる危険性があります。
チラシ13号2013年12月発行より抜粋