日本の市場規模は約9200億円!MICE(マイス)戦略の推進

MICE(マイス)とは、Meeting(会議・研修・セミナー)、 Incentive(報奨・招待旅行、 Convention(大会・学会・国際会議)、Event/ Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、大きな集客効果が見込まれる大規模なビジネスイベント等の総称です。日本では2010年をMICE元年と位置づけられ、国の支援が本格的にスタートしました。以来、国内の多くの自治体でMICE観光の誘致合戦が激化しています。

日本の市場規模は約9200億円!MICE(マイス)戦略の推進

MICEの可能性

そもそもなぜこれほどMICEに注目が集まるのか。それには大きく3つの理由が挙げられます。
まず1点目が高い経済効果。
MICEは、一般市民や学術系の団体などの参加者をはじめ、その家族や関連企業が国内外から訪れます。そのため非常に多くの参加者となるケースが多いのが特徴です。また、開催前後にはパーティや観光ツアーが催され、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や運輸機関、さらにはイベント関連業者など、一般の観光と異なり、広範な分野に多大な経済波及効果をもたらします。
2点目は都市や産業の発展。
MICEには開催周辺地域が活性化、国際化するというメリットもあります。プロモーション効果が高いため、MICEの誘致が町おこしの起爆剤になるケースが多いのも特徴です。
そして3点目が市場規模・裾野産業の広さ。
観光庁の調査(2009年度)によれば、MICE全体の訪日外客数は年間約100万人。そして市場規模は9200億円、そのうち訪日外国人の消費額は約1200億円と推計され、全訪日外国人の消費額約1兆600億円の約9分の1に当たります。組織による経費の負担比率が大きいので、1人当たりの投下金額が多いのも特徴的です。

京都市の課題と今後の提案

諸外国と比べると日本は物価高や言葉のハンディがあります。京都市にはこれらのハンディを乗り越えるだけの街の魅力は充分備えておりますが、会議場の規模が小さい、ホテルの収容客数が少ないなど、埋め立て地による土地の開発ができない分どうしてもハード面に大きな課題が残っています。
このハード面での壁を打ち破るためには国立京都国際会館の拡充や新たな会議施設の新設が不可欠であることから、京都市にMICE観光を視野に入れたハード面での整備を提案しました。
キャパシティ不足により逃した、収益性の高いMICE観光をこれからはもっと強化できるよう、ただ観光が増えればよい、という発想ではなく上質で街の洗練にもつながる観光誘致として戦略的に展開していけることが重要です。

財政再建が急務である今、観光客増によって暮らしの豊かさを市民が享受できるように、観光の質向上や、観光収入による市民サービスへの転換にこれからも注力します。

チラシ26号2018年1月発行より抜粋