市営住宅の実態調査

健全化に向けて提案!

京都市では子育て世代への優先入居が始まるなど、現在も京都市の市営住宅には入居希望者が列を成していますが、市営住宅には未だ課題が山積しています。そこで、徹底調査した実態を京都市議会で取り上げ、改善を呼びかけました。

1.大量の空室

市営住宅の実態調査!1
入居希望者が殺到しているにも関わらず、使用できるのに空室となっている部屋は2000室以上にのぼります。しかも、うち1448室は募集すらされていません。また整備費が追い付かないため保留となっている案件が半分以上を占めています。しかし物件を見てみると、修繕費に平均130万円以上掛かるとは思えない美しさで高止まりしているように見受けられました。

要望

ニーズの高い住戸を優先的に、修繕費用は再点検し、適正な運営を要請しました。

2.新築未入居

市営住宅の実態調査!2
京都市内某所にある平成17年に竣工した市営住宅では、総戸数38戸中、16戸が空室。しかも、うち6戸は竣工から一度も居住がなく、募集すらしていません。このような新築未入居が平成5年以降の物件で77戸もあります。金額にすれば2億5000万円規模の損失です。原因は古い住宅からの引っ越しの調整が10年以上滞っていることにあるため、機会損失の観点から早期の解決を求めました。
半数以上のポストが塞がっている状況です。

指摘

機会損失の穴埋めは市民の税金であるため、速やかな対応を指摘しました。

3.高収入世帯の入居

京都市営住宅は低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸すると定められていますが、入居基準の収入を超過している世帯が1080世帯もいます。収入超過が認定されても10年以上そのまま居座っている世帯が127世帯に上り、その分生活困難者が入居できない状態が続いていることは由々しき事態です。収入超過者について法的な明け渡し義務がなく、努力義務に留まることが壁だが、早期の解決が肝要です。

提言

積極的な行政指導と生活困難者を優先する法令整備も含め適切な活用を提言しました。

4.複数居住の所有・会社運営

市営住宅の実態調査!4
基本的に京都市営住宅では住居目的以外の使用は不正使用として明渡指導の対象となります。しかし、現場に足を運ぶと会社の看板やドアに別号室の案内が掲げられている宅が散見しています。複数住居が疑われる宅は、片方に入居実態が確認できないところも存在しました。

要望

市の共有財産の適正な利用を要請しました。

実態調査のもと、問題提起しなければ前に進み出さない課題は多く眠っています。市民の税金、市民の資産が健全に使われるように体当たりで挑みます。

江村理紗

チラシ22号2017年1月発行より抜粋