代表質問 ー高校入試制度について(質問全文)ー

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一つ前のブログに引き続き、以下、教育分野における質問文章全文です。

□京都市教育の方針

そのため、私からはまず京都市の教育についてお尋ね致します。教育分野に関して
は、戦後の復興から現在までにおいても、ゆとり教育や学歴主義などをはじめとし
て、その時代に応じて教育方針の変化がみられました。そして今後地域主権が強まる
うえでは、これまで以上に地域の裁量が教育についても重要な役割を占め、教育を取
り巻く環境がまた大きく変化する可能性があります。そのため、人を育む街を目指す
ためにも、京都市の確固たる教育方針を示すべき時期にきていると考えます。

これからの社会に向けて、京都党の考える教育方針は、自ら考え、学び、選択できる
機会を大切にすること、そして向上心を持って、個々人の持つ可能性を最大限に引き
出すことです。それがすなわち、子供たちの「自立」にもつながっていきます。

そこでお尋ね致します。子供たちの未来を見据え、京都市は今後どういった教育方針
を掲げられていくのでしょうか。分かりやすく、端的にお示しください。

□公立高等学校入試制度

次に、公立高等学校の入試選抜方式についてお尋ね致します。

現在の京都市の入試制度は、「総合選抜制度」と「単独選抜制度」という大きく分け
て二つの制度が用いられております。まず総合選抜制度は普通科第?類の選抜方式
で、京都市北通学圏及び南通学圏にある高校の一般選抜定員の合計人数を合格者と
し、その合格者の希望や地理的条件などを考慮して、実際に入学する高校が決定され
ます。また一方の単独選抜制度は、これ以外の公立高校、類、学科で採用されてお
り、生徒が希望する学校、学科、類、系統等を特定して受験する仕組みとなっており
ます。この通り、京都市では、これらの全く異なる選抜方式が併存しております。

少し遡ると、もともと京都市では、総合選抜制度が全面的に採用されていました。導
入当時の時代背景は、交通の便も発達しておらず、公教育を均等に提供することが大
前提として掲げられていたため、できるだけ不合格者が出ることをおさえ、高校ごと
に生徒の学力が均等になるように割振り、自宅からなるべく近い高校に通うことがで
きるという制度は、有効なものとして受け入れられておりました。そしてまた、受験
人口の多かった第2次ベビーブーム(1970年頃)世代の高校受験期には受験競争
の緩和、高校進学率の維持、中卒浪人の発生防止という点においても、大きな役割を
果たしてきたと言えます。このように総合選抜制度は、戦後の著しい発展と、まずは
取りこぼれのないように教育環境の整備を行う必要があった時代背景においては、一
定の効果を上げてきました。

しかし一方で、時代の変化に伴い、本制度が受け入れられにくくなってきたのも事実
です。校風や部活動によって高校選択のニーズが高まると共に、学校の特色化なども
謳われるようになってきた昨今では、次第に総合選抜制のもつデメリットが目立つよ
うになってきました。学校間の学力差は少ないものの、高校内の学力差は大きいため
にきめ細かな教育が行き届きにくいことに始まり、どこの高校に入学を許可されるか
は発表されるまで分からないために、私立の入学決定まで待つことができず、本来公
立高校を志望している生徒でさえ私立を選ばざるを得ない状況も発生しております。

そして、もっとも問題視されているのは、地理配分において選択可能な公立高校が極
めて狭められてしまうことです。京都市は生徒の居住地の最寄りのバス停によって区
分する、通常「バス停方式」と呼ばれる仕組みを用いております。

今回、本市教育委員会が現役の中学生と高校生、及び保護者に対して実施した「公立
高校入試に関する意識調査」では、「最寄りのバス停・駅によって入学する高校が決
定されるしくみをどう思うか。」について「望ましいと思わない」「(どちらかとい
うと)望ましいと思わない」との回答が7割以上を占めております。つまりこの調査
においても、地理的条件に縛られることへの不満感が浮き彫りとなっております。

総合選抜制度で各高校の学力を均等にするといえども、高校ごとに学力差が生じてい
ることは周知の事実で、大学進学率をとってもかなりのひらきが出ているのも確かで
す。地域によってはバス停一つで学力レベルが大きく異なることから、より良い教育
を提供してくれる高校のバス停区域に入るため、受験前に住所変更を行う生徒や、願
書に最寄りとは異なるバス停名を書こうとする生徒が毎年後を絶ちません。中学校現
場ではこの実情に頭を悩ませ、最寄りのバス停名を正確に記載しているかチェックし
ながら、より指導を強めているところです。しかし、制度をすり抜ける方法が横行し
ていること自体に、制度疲労が起こっていると言わざるをえないのではないでしょう
か。

もちろん京都市は、こうした制度弊害を補てんするために、普通科第?類の希望枠設
置や普通科第?類への単独選抜制の導入など、これまでにも様々な対処を講じてきま
した。しかし、近年になって総合選抜制度に多くのオプションを設けた結果、非常に
難解な入試制度となり、統一性を欠くものとなってきております。

京都市の入試選抜において時折用いられる「15の春は泣かせない」という決まり文
句がありますが、合格こそしたものの希望しない高校へ配分された生徒が毎年多く涙
している状態ではその意味をなしえません。努力ではなく制度に阻まれるかたちに
よって挫折を味わう受験生をこれ以上出してはなりません。そのため、個人の努力と
実力をもって可能性をきり開いていける、平等な選抜方式を整備すべきと考えます。

これらを踏まえ、単独選抜制度の全面的な導入が望ましいと考えます。単独選抜制度
では、通学圏内では生徒の望む特色に応じて自由な高校選択が可能となります。各高
校も「選ばれる学校」になるようこれまで以上に切磋琢磨することで、全体の学力向
上や特色化も図られることとなります。もちろん生徒間にも競争は高まりますが、自
分で選択することで責任感が生まれ、将来を考える機会にもつながります。そしてそ
れはやがて生徒の「自立」も促すものとなります。

補足して申し上げますと、現在総合選抜制度を用いているのは全国でも残すところ京
都市・乙訓地域のみとなりました。高校の特色化と自由選択ニーズが高まることに合
わせた入試制度改革が進む中で、京都市は取り残されている状況です。

以上のことから要望の意味も込めてお尋ね致します。公教育として果たすべき役割の
中で、賢明な努力をなされてきておりますが、入試選抜方法においては複雑なニーズ
を補完するがゆえの多様化は限界にきていると見受けられます。これらの実情を踏ま
え、単独選抜制への移行がふさわしいと考えますが、いかがでしょうか。