昨日、京都市議会の決算集中審議を終えまして振り返りを文章にまとめました。長文ですがご覧いただけますと幸いです。
■赤字財政は長年の失政によるもの
途中衆議院選挙を挟んだ京都市の決算議会は認定多数により討論決了し幕を閉じました。
結果を見れば滞りなく認定されたように見えるものの、昨年度はコロナ禍の国難ともいえる状況下で各自治体が市民生活を守るべく手厚い行政サービスを行う中、京都市では財政破綻を大々的に打ち出し市民に不満と動揺を与えた年であり、議会でもこれまでになく厳しい政策評価が飛び交う展開となりました。
市が財政難であったがために、コロナ対策のほとんどが国からの臨時交付金頼みとなり、他都市のように迅速な対応ができず、経済支援でも見劣りする形となったことは真摯に反省しなければなりません。
子育てや福祉サービスにもメスが入る中で、できる限り市民負担を生じさせない策に尽力すると共に、京都市には「なぜこれほどの財政難になったのか」を正確に向き合うよう求めました。
門川市政は再三に渡って、国からの地方交付税が予想以上に減額されたなどの外的要因を主要因のように議会で答弁し、構造的なものであるため仕方がないといった説明を市民にもしております。
しかし、税構造の不利益は他の政令市も同条件の中、他都市は劇的に財政を回復させているのです。
門川市長が市長に就任した平成20年度時点で、京都市より将来負担比率の高かった千葉市や横浜市、広島市、福岡市、大阪市はこの12年間に大きく改善させており、改革を進められなかった京都市は財政の指標として非常に重要な将来負担比率がワースト1に陥ってしまいました。
当然ながら京都党は10年以上に渡り財政立て直しに向け、公共施設など投資の取捨選択、各事業の費用対効果の検証のほか国に任せられるサービスは思い切って任せるなど、ありとあらゆる側面で財政運営の健全化を議会で求めてきました。
しかし、どれだけ建設的な提案をし、議会で行政と議論を尽くしても、多数の議員理解やトップである市長が決断しなければ物事は動かず、いつか景気が良くなれば改善できるという楽観的な流れのもと本格的な改革には着手されぬまま悪化の一途を辿ってきました。
今回のコロナ禍で他都市と比較してスピード感や内容が見劣りしたのは、まさに財政が極めて脆弱である結果であり、緊急時の対応やこの街の将来のためにも、今後進める行財政改革では、外的要因に責任転嫁せず、収入より支出が上回る明らかな放漫経営に主要因があったことを認めることからスタートすべきです。
現状、門川市政が示している財政再建案では財政破綻を10年以上かけて回避する案に留まり、財政を立て直す未来像は描けていません。
それもそのはずで、例えば財政難に直面した自治体でいの一番に着手される人件費見直しは、職員数は他都市並みにする、給与はトータル1%カットの実施など、財政難でなくとも普段から円滑な行政運営に向けて着手される程度に留まっています。
この規模感では市民サービスの削減に負担の皺寄せがいくのは当然で、例えば現在小学生の児童が大学を卒業する頃にまだ財政の立て直しの目途が見えない不安定な自治体運営が続くことになります。
市民の方からは、できるだけ市民サービスへの影響が小さく、負担が生じる場合は行政がその前に行うあらゆる策を尽くした上のことであり、できるだけ短期に状況を好転させることを望まれていると思います。
だからこそ、京都市が集中改革期間と銘打つからにはしっかりと出口まで描き切り、テクノロジーや民間活力の活用、大胆な業務プロセスの見直しなど知恵と工夫を総動員し、より少ない予算で市民サービスを向上させる取り組みに重点を置き、スピード感をもって改革に取り組むことを提言致しました。
京都市議会員 江村りさ